2025年04月01日

贈与税ってどんな税金?

贈与税ってどんな税金?

💡この記事のポイント
 ☑贈与は、あげる人ともらう人、双方の合意があって初めて成立する。
 ☑親族間であっても、贈与契約書を交わすことが重要である。
 ☑年間でもらった財産の合計額が110万円を超える場合、110万円を超えた部分について贈与税がかかる。
 ☑生活費や学費、慶弔費用などは、通常贈与税がかからないとされている。
 ☑一定の要件を満たすことを条件に贈与税が非課税等となる特例も設けられている。

1.はじめに

 ふだんの生活で「贈与税」の存在を意識したことはありますか?例えば、「子ども名義の預金口座を作って毎月入金している」「孫の就職祝いに新車をプレゼントした」「出世払いで子どもにお金を貸した」といった場合に、あまり税金を意識していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、これらのケースでは贈与税がかかることもあり、「知らなかった」では済まされません(上記の例については本文中で解説します)。
 近年、団塊の世代など比較的高額な財産を持っている高齢者が増えています。将来の相続に備えて、子や孫などに生前贈与をしておきたいと考える方も多いでしょう。そこで、今回は「贈与税とはどのような税金か」「贈与税はいくらから、どんなときにかかるのか」「贈与税の対象となるもの・ならないもの」「非課税特例」などをわかりやすく解説します。

2.そもそも「贈与」とは?

       

 まずは、贈与についての基本的な考え方を知っておくことが大切です。「贈与」とは無償で資産を移転する契約であり、あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の合意が必要となります。つまり、当事者双方の合意による契約があってはじめて贈与が成立するのです。なお、相続とは誰かが亡くなった時点で発生するものであり、契約行為である贈与とは異なります。
 ここで、「はじめに」に挙げた「子ども名義の預金口座を作って毎月入金している」という例について考えてみましょう。この例のように、親のお金を原資とした子名義の預貯金がある場合、そもそも子が預貯金の存在を知らないなど贈与契約が成立していないときは、その預貯金は贈与されたものとはみなされず、親の財産と判定され、相続時には相続税の課税対象となってしまいます。
 過去の贈与の有無が、後日、相続人同士や税務署とのトラブルになる可能性があるため、贈与の事実を証するためにも贈与契約書を作成しておくようにしましょう。なお、公証役場で贈与契約書に確定日付を取得しておくと、贈与の事実がより明確になります。
 金銭などを贈与する際の留意点は、次のとおりです。
☑贈与の際には必ず贈与契約書を作成する。
☑贈与者の口座から受贈者の口座へ振り込む。
☑預金は贈与を受けた者が自分で管理する。
☑年間110万円を超える場合や、初めて相続時精算課税を選択する年は必ず贈与税の申告を行う。

3.贈与税がかかるのはどんなとき?

 贈与税は、個人から金銭などの財産をもらったときに、もらった人(受贈者)が納める税金です(※個人ではなく法人から財産をもらった場合は、贈与税ではなく所得税がかかります)。贈与税と相続税の違いは次のように説明できます。

 ・贈与税=生きている人から財産を譲り受けたときにかかる税金
 ・相続税=亡くなった人から財産を引き継いだときにかかる税金

 前述したように、個人から財産を譲り受けた人には贈与税の納税義務が生じますが、もちろん数万円のお小遣いに対して贈与税がかかるわけではありません。贈与税の基礎控除額は年間110万円です。 1月1日から12月31日までの1年間でもらった財産の合計額が110万円を超える場合に、110万円を超えた部分について贈与税がかかります
 贈与税は、財産の相続時にかかる相続税と比べて、基礎控除額や税率面での負担が重くなっています(下の表を参照)。

基礎控除額と税率の比較(平成27年1月1日以後)

贈与税(歴年課税)相続税
基礎控除額贈与を受けた人(受贈者)について1年につき110万円遺産総額について3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
税率〈一般贈与財産〉
200万円以下……10%(最低)
3,000万円超……55%(最高)
※直系尊属からの特例贈与財産については4,500万円超
1,000万円以下…10%(最低)
6億円超 ………55%(最高)

 なお、贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの制度があります。受贈者は贈与者ごとにそれぞれの課税方法を選択することができ、贈与税がいくらかかるのかはどちらの制度を選択するかによって変わってきます。通常、何も手続きをしなければ暦年課税により贈与税額が計算されます。相続時精算課税は親子間などの贈与で一定の要件に当てはまる場合に選択できる制度です。

 相続時精算課税の詳細については、以下の記事で解説しています。

《参考記事》「暦年課税と相続時精算課税、どちらが有利?」

4.贈与税の申告と納税

 では、改めて、どんな時に贈与税の申告が必要になるのかを整理しましょう。

 その年の1月1日から12月31日までの間に財産の贈与(法人からの贈与を除きます)を受けた人は、その贈与財産について、下記の区分に応じて贈与税の申告をしなければなりません。
 (1)暦年課税の場合は、受贈財産の合計額が基礎控除額110万円を超えるとき
 (2)相続時精算課税の場合は、最初に制度を選択するときや、受贈財産の合計額が基礎控除額110万円を超えるとき

 上記のいずれかに該当する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地を所轄する税務署に申告書を(e-Tax でインターネット経由または紙の書類で)提出します。そのほか、贈与税の納税は下記の方法により、原則として金銭で一括納付しなければなりません。

(1) キャッシュレス納付

 ①e-Tax による口座振替を利用した納付
 ②インターネットバンキング口座などからの納付
 ③クレジットカードによる納付
 ④スマートフォンの決済アプリによる納付

(2) 税務署窓口または金融機関で納付書により納付

(3) コンビニエンスストアで納付書により納付

《参考》国税庁「贈与税の申告手続」

 なお、贈与税は金銭一時納付が原則ですが、納税が困難な場合には一定の条件のもとに 5年以内の年賦による延納が可能です。
 延納を受けるためには、下記の要件のすべてを満たすことが必要です。
(1)贈与税額が10万円を超えている
(2)金銭で一度に納めることが難しい理由がある
(3)担保を提供すること(延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合、担保は不要です)

5.贈与税の課税対象となるもの、ならないもの

 贈与税は、現金や預貯金だけでなく土地・家屋、有価証券、貴金属・宝石、書画・骨とうなど原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかります。しかし、生活費や教育費に充てるために取得した財産などについては贈与税がかからないことになっています。
 「知らないうちに贈与税の課税対象になっていた」という事態を避けるためにも、課税対象となるもの・ならないものの例をより詳しく確認しておきましょう。

(1) 贈与税の対象となるものの例

 ①家族間の多額の金銭の移動
 ②家族名義での資産(車など)の購入
 ③贈与とみなされる保険金(自分が保険料を負担していない生命保険金など)の受け取り

(2)贈与税の対象とならないものの例

 ①扶養義務者相互間で、通常必要と認められる生活費
 ②子どもへの学費、仕送り(生活費に該当するもの)
 ③宗教、慈善、学術などの公益事業を行う人が贈与によって取得した公益事業用財産
 ④特定障害者を受益者とする特定障害者扶養信託契約
 ⑤社会通念上相当と認められる慶弔費用
 ⑥相続があった年に被相続人から贈与を受けた財産(相続税の対象財産となる)
 ⑦離婚の際の財産分与(贈与税の対象となる場合もある)

 なお、生活費や教育費に充てるために取得した財産であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てたりしている場合には贈与税がかかるので注意が必要です。

 これらの例を踏まえて、「はじめに」で挙げた「孫の就職祝いに新車をプレゼントした」と「出世払いで子どもにお金を貸した」という例が贈与税の対象となるのかどうかを改めて考えてみましょう。
 まず「孫の就職祝いに新車をプレゼントした」ですが、結婚祝いであれば上記(2)⑤「慶弔費用」に該当しますが、就職祝いに関しては該当しません。さらに、新車であれば、通常、購入時の価額は贈与税の基礎控除額である110万円をオーバーすると想定されます。したがって、110万円を超えた部分については贈与税がかかります。なお、中古車を名義変更して贈与する場合も、評価額が110万円を超える場合は贈与税の対象となります。
 次に「出世払いで子どもにお金を貸した」ですが、親子間・親族間での金銭の借入れは、他人間の場合とは異なり、その真偽を厳しくチェックされます。「ある時払いの催促なし」または「出世払い」というような借入れや、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上の借入れとしている場合には、借入金そのものが贈与とみなされるので注意しましょう。

《参考》国税庁「贈与税がかかる財産」

 もちろん、個々の事例によって、贈与税の対象となるかどうかは異なります。例えば、慶弔費用は贈与税の対象外とされていますが、結婚祝いとして贈与する金額が「社会通念上相当と認められる」かどうかの判断は、個々人の収入や価値観によって異なります。不安な場合には、自己判断せずに税理士等の専門家に相談するようにしましょう。

6.贈与税がかからない特例とは?

 贈与税では一定の要件を満たすことを条件に、以下のように数多くの特例が設けられています。これらの特例を適用して、非課税枠や納税猶予制度を有効に活用しましょう。

 ①住宅取得等資金贈与の非課税
 ②教育資金の一括贈与の非課税
 ③結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
 ④婚姻期間 20 年以上の配偶者への居住用不動産等の贈与(贈与税の配偶者控除)
 ⑤法人版事業承継税制
 ⑥個人版事業承継税制
 ⑦農地等の贈与税の納税猶予

 この記事では、上記のうち①~④の非課税特例についてQA形式で解説していきます。

(1) 住宅取得等資金贈与の非課税特例

Q: 息子がマイホームを購入するので資金を援助しようと思います。贈与税はかかりますか。
A:令和8年12月31日までは、下の表のとおり一定の金額が非課税となっています。また、住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例を選択すれば、110万円の基礎控除と2,500万円の特別控除を受けることができます。この場合は、贈与者の年齢制限はありません。

【解説】
 令和8年12月31日までは、非課税特例があります。この特例は暦年課税、相続時精算課税のどちらであっても適用が受けられます。父母はもちろん、祖父母、曾祖父母といった直系尊属からの住宅取得等資金贈与がすべて対象となります。

住宅取得等資金贈与のイメージ

■「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の概要

期間令和8年12月31日までの贈与
贈与する人贈与される人の直系尊属(父母・祖父母等)
贈与される人・贈与を受けた年の1月1日において18歳以上
・贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下※1の者 等
※1 40㎡以上50㎡未満の家屋については1,000万円以下
対象となる資金新築、取得または増改築の対価に充てるための資金
適用手続贈与税の期限内申告書に特例の適用を受けようとする旨を記載し、計算の明細その他財務省令で定める書類を添付する
その他・平成21年分から令和3年分までの贈与税申告でこの規定の適用を受けていないこと
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受ける場合、住宅取得等資金の贈与を受けた金額に相当する部分の金額※2は、住宅ローン控除の適用なし
※2 ①-②の額
 ①住宅借入金等の年末残高の合計額
 ②住宅用の家屋の新築等の対価の額等から住宅取得等資金の非課税の適用を受けた金額を差し引いた額
《参考》国税庁「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等のあらまし」

■非課税限度額

①耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋1,000万円
②上記以外の住宅用家屋500万円

※東日本大震災により滅失(通常の修繕によっては原状回復が困難な損壊を含みます)をした住宅に居住していた人等で一定の要件を満たす場合の非課税限度額は、①の住宅用家屋 1,500万円、②の住宅用家屋1,000万円。

■相続時精算課税の特例

 父母や祖父母などからの住宅取得等資金の贈与を受けた場合において一定の要件を満たすときは、贈与者がその贈与の年の 1 月 1 日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。

(2) 教育資金の一括贈与に係る非課税特例

Q: 孫(18歳)が来年大学へ進学するので、学費分の資金贈与をしたいのですが、贈与税は多額になってしまうのでしょうか。
A:子・孫などへ教育資金を「一括贈与」した場合、一定の要件を満たせば、1人につき1,500万円までは贈与税が課されません。

【解説】
 子や孫等である受贈者(30歳未満の者に限定)の教育資金に充てるために、父母・祖父母等が金銭等を拠出し、金融機関等に信託等をした場合には、信託受益権の価額または拠出された金銭等の額のうち、受贈者1人につき1,500万円(その内、学校等以外の者に支払われる金銭については500万円)までの金額について、平成 25 年 4 月 1 日から令和 8 年 3 月 31 日までの間に拠出されるものに限り、贈与税が課されません。
 なお、信託等をする年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税特例の適用を受けることはできません。

教育資金の一括贈与のイメージ

■教育資金の範囲

(1) 学校等※に対して直接支払われる次のような金銭
① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
② 学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
(2) 学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で社会通念上相当と認められるもの
<イ 役務提供または指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
⑤ ③の役務提供または④の指導で使用する物品の購入に要する金銭
<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>
⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
⑦ 通学定期券代
⑧ 留学渡航費、学校等への就学に伴う転居の際の交通費

※「学校等」とは
・学校教育法上の幼稚園、小・中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校、大学、大学院、専修学校、各種学校 ・外国の教育施設〔外国にあるもの〕その国の学校教育制度に位置づけられている学校、日本人学校、私立在外教育施設 〔国内にあるもの〕インターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)、外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)、外国大学の日本校、国際連合大学 ・認定こども園または保育所など
《参考》国税庁「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

■教育資金口座の終了と贈与税の課税

 教育資金口座に係る契約は、下記の(1)~(5)のそれぞれに定める日の、いずれか早い日に終了します。(令和元年7月1日以後の取扱い)

契約の終了事由終了の日
(1) 受贈者が30歳に達したこと(その受贈者が30歳に達した日において学校等に在学している場合または教育訓練を受けている場合を除く)30歳に達した日
(2) 受贈者(30歳以上の者に限る。(3) において同じ)がその年中のいずれかの日において学校等に在学した日または教育訓練を受けた日があることを、取扱金融機関の営業所等に届け出なかったことその年の12月31日
(3) 受贈者が40歳に達したこと40歳に達した日
(4) 受贈者が死亡したこと死亡した日
(5) 口座の残高がゼロになり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったこと合意に基づき終了する日

 上記の事由((4)の事由を除く)に該当したために、教育資金口座契約が終了した場合に、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続または遺贈により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除する)した残額があるときは、その残額が、それぞれに定める日の属する年の受贈者の贈与税の課税価格に算入されます。
※暦年課税で申告を行う場合、令和5年4月1日以後に取得した信託受益権等に対応する部分は、一般税率が適用されます。

      

(3) 結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税特例

Q: 子ども(30歳)が来年結婚するので、挙式費用を出してあげたいのですが、この費用には贈与税がかかってしまうのでしょうか。
A:子や孫等に結婚・子育て資金を「一括贈与」した場合、一定の要件を満たせば、1人につき1,000万円までは贈与税が課されません。

【解説】
 受贈者( 18歳以上※ 50歳未満の者に限る)の結婚・子育て資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関等に信託等をした場合には、信託受益権の価額または拠出された金銭等の額のうち、受贈者1人につき1,000万円(結婚に関するものについては、300万円を限度)までの金額に相当する部分の価額については、平成27年4月1日から令和 7 年 3 月 31 日までの間に拠出されるものに限り、贈与税が課されません。なお、信託等をする年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税特例の適用を受けることはできません。
※令和 4 年 3 月 31 日以前は 20 歳

結婚・子育て資金の一括贈与のイメージ

■結婚・子育て資金の範囲

(1) 受贈者の結婚に際して支出する費用
① 挙式や結婚披露宴を開催するために要する挙式代、会場費など(入籍日の1年前以後に支払われたものに限る)
② 結婚を機に移り住むものとして、新たに借りた物件にかかる家賃、敷金、共益費、礼金、仲介手数料、契約更新料(入籍日の前後各1年の期間内に締結した賃貸借契約に関するものに限る。また、当該契約締結日から3年を経過する日までに支払われたものが対象となる)
③ 結婚を機に移り住む住居先に転居するための引っ越し代(入籍日の前後各1年の期間内に行ったものに限る)
(2) 受贈者(当該受贈者の配偶者を含む)の妊娠、出産または育児に要する費用
① 妊娠に要する費用
 イ 人工授精など不妊治療等に要する費用
 ロ 妊婦健診等に要する費用
② 出産に要する費用
 イ 分娩費、入院費、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料及び産科医療補償制度掛金など出産のための入院から退院までに要する費用
 ロ 出産後1年以内に支払われた産後ケアに要する費用(6泊分または7回分を上限とする) ③ 育児に要する費用
 イ 未就学児の子の治療、予防接種、乳幼児健診、医薬品(処方箋に基づくものに限る)に要する費用
 ロ 保育園、幼稚園、認定こども園等へ支払う入園料、保育料(ベビーシッター費用を含む)、施設設備費、入園試験の検定料、行事への参加や食事の提供など育児に伴って必要となる費用、子育て世帯訪問支援事業及び親子関係形成支援事業に係る施設利用料
《参考》国税庁「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

■制度の適用を受けるためには?

 この非課税制度の適用を受けるためには、結婚・子育て資金口座の開設等を行った上で、「結婚・子育て資金非課税申告書」をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、信託や預入などをする日(通常は結婚・子育て資金口座の開設等の日)までに、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(「結婚・子育て資金非課税申告書」は、金融機関等の営業所等が受理した日に税務署長に提出されたものとみなされる)。

■領収書等は金融機関に提出しなければなりません!

 結婚・子育て資金口座からの払出しおよび支払いを行った場合には、結婚・子育て資金口座の開設等の時に選択した払出方法に応じ、その支払に充てた金銭に係る領収書などその支払の事実を証する書類を、次の(1)または(2)の提出期限までにその金融機関等の営業所等に提出する必要があります。
(1)結婚・子育て資金の支払後に、実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択
 ⇒領収書等に記載された支払年月日から 1 年を経過する日
(2)(1)以外の方法を選択
 ⇒領収書等に記載された支払年月日の属する年の翌年 3 月 15 日

■結婚・子育て資金口座の終了と贈与税の課税

 結婚・子育て資金口座に係る契約は、次の(1)~(3)の事由に該当したときに終了します。

(1)受贈者が 50 歳に達したこと
(2)受贈者が死亡したこと
(3)口座の残高がゼロになり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったこと
<残額の取扱い>
①上記(1)または(3)に掲げる事由に該当
 非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、これらの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして、受贈者に贈与税が課されます。
※暦年課税で申告を行う場合に、令和 5 年 4 月 1 日以後に取得した金銭等に対応する部分は、一般税率が適用されます。
②上記(2)に掲げる事由に該当
残額については、贈与税を課されません。

      

(4) 配偶者への居住用不動産等の贈与(贈与税の配偶者控除)

Q:生前に妻にマイホームを譲っておきたいのですが、夫婦間でも贈与税がかかるのですか?
A:夫婦間でも贈与税はかかります。ただし、自宅(住宅購入資金を含む)であれば、最高2,000万円までの控除を受けられる場合があります(基礎控除額とあわせると2,110万円までは贈与税がかからない)。これを贈与税の配偶者控除といいます。

贈与税の配偶者控除の適用を受けるには?

 ①婚姻期間が20年以上であること
 ②贈与した財産が、配偶者が住むための住宅(国内にある居住用不動産)であること
 または、配偶者が住むための住宅を取得するための金銭であること
 ③贈与した年の翌年3月15日までに、その住宅に配偶者が実際に住み、その後も引き続き住む見込みであること
※同じ配偶者との間では、一生に一度しか配偶者控除は受けられません。

《参考》国税庁「タックスアンサーNo.4452「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」
居住用不動産のイメージ

不動産取得税と登録免許税は課税されるので注意

 この規定の適用により居住用不動産の贈与について贈与税が課税されない場合でも、不動産取得税と登録免許税は納税する必要があります。
①不動産取得税

 不動産の取得にあたり課税される地方税で、都道府県に納税します。
【不動産取得税の計算】固定資産税評価額×税率

区分税率
住宅地等4%(令和9年3月31日までは3%)
家屋住宅4%(令和9年3月31日までは3%)
住宅以外4%

※令和9年3月31日までに取得した住宅地等については固定資産税評価額の1/2が課税標準額となります。

②登録免許税
 不動産の登記申請の際に法務局に納める税金です。贈与を移転原因とする登録免許税は固定資産税評価額の 2%となります。

7.まとめ

 親子間・親族間での贈与では、「贈与であることを認識すらしていなかった」というケースもあるでしょう。この記事で紹介したように、「贈与」や「贈与税」に対する知識を身につけて対策することが大切です。1年間でもらった財産の合計額が110万円を超える場合には、贈与契約書を交わして、税務署への申告手続きを行う必要があります。
 また、贈与税の課税対象とならないものや非課税特例等の内容を正しく把握しながら、計画的かつ有効な生前贈与を行いましょう。

参考文献

・『Q&A贈与税のきほん』(監修 TKC全国会 資産対策研究会、TKC出版)
・財産をもらったとき(国税庁)
・令和4年分 確定申告書等作成コーナーよくある質問 贈与税がかかる財産(国税庁)
・タックスアンサー No.4405 贈与税がかからない場合(国税庁)

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