💡この記事のポイント
☑月次決算の徹底が「黒字決算」実現への近道
☑黒字決算が積み重ねることでスムーズな「事業承継」につながる!
☑TKCシステムを活用することで適正かつ効率的な経理事務が可能に!
閉じる開く
1.なぜ月次決算が必要なのか?
「月次決算」という言葉をご存じでしょうか。これは端的に言うと、1か月ごとに自社の財政状態や経営成績を明らかにして、業績管理に活用するための月次決算書(月次試算表)を作成することです。
月次決算には毎月の経営者の意思決定の結果が表れます。その結果を毎月確認し、問題点等があれば早期に次の打ち手を検討して実行に移すことが黒字決算を実現するための絶対条件といえます。そのためにも、毎月上旬には前月までの業績をしっかり押さえることが肝心です。
経営者の意思決定が適切だったのかどうかを確認する機会が、仮に決算月の年1回だけだったとしたらどうでしょうか。これは車の運転に例えると、ガソリンの残量やスピードメーターなどを見ずに毎日ドライブしているようなものです。
月次決算は、仕組みさえつくれば難しいものではありません。経営者が押さえるべき数字はある程度の概算でよいのです。TKC会員事務所では、税務・会計・経営面等だけでなく、月次決算の仕組みづくりをサポートしています。
(1) 月次決算は黒字決算につながる!
「TKC経営指標(BAST)」(令和6年版)によれば、TKCの自計化システムを利用している会社の黒字割合は53.5 %となっています。これは、全国の法人の平均黒字割合36.0%(国税庁調べ)よりもはるかに高くなっています。その根本的な理由は、TKCの自計化システムを利用する企業は、迅速かつ正確に月次決算を行い、きちんと業績管理をしているからです。
<「TKC経営指標(BAST)」とは?>
TKC会員(税理士・公認会計士)の「関与先」(顧問先)企業の経営成績と財政状態を分析したものです。TKC会員が毎月継続して実施した巡回監査と月次決算により作成された会計帳簿を基礎とし、そこから誘導された決算書(貸借対照表及び損益計算書)を収録データとしています。
これだけの精度と速報性を持つ中小企業の経営指標は、世界にも類例がなく、税務当局、金融機関等から高く評価されています。この指標を利用する金融機関では、融資審査等での比較データとしての利用に加え、中小企業の経営改善を支援する際のベンチマークとして活用するなど、中小企業金融における“目利き力強化に役立っている”と評価が高まり、年々、利用機関数・ID数とも増加しています。
(2) 金融機関等からの信頼度もアップ!
月次決算の結果を毎月(あるいは四半期ごと)に金融機関等に提出することで、金融機関等からの信頼獲得にもつながります。なお、「TKCモニタリング情報サービス(MIS)」を活用すれば月次試算表等を金融機関にタイムリーに提出することができます。
融資を受ける際に経営者の個人保証が不要となる『経営者保証に関するガイドライン』においても、その要件の1つに「適時適切な情報開示」(=月次決算)が盛り込まれています。
<「TKCモニタリング情報サービス(MIS)」とは?>
TKC全国会会員(税理士・公認会計士)が毎月の巡回監査と月次決算を実施した上で作成した月次試算表、年度決算書等の財務情報を、経営者からの依頼に基づいて、金融機関に開示する無償のクラウドサービスです。
経理事務の負担が軽減される上、 信頼性の高い決算書等のタイムリーな提供により、金融機関からの関与先企業に対する信頼性が向上し、関係強化につながります。
(3) 黒字決算を実現すれば事業承継にも有利!
①後継者が引き継ぎたくなるような魅力的な会社に!
時代の変化に対応し、その企業が持つ競争力を強化しながら後継者にしっかりバトンを渡していくためには黒字決算が欠かせません。毎期黒字決算を積み重ね、自己資本を充実させ、後継者が引き継ぎたくなるような魅力的な会社にすることが大切です。適切な経営の打ち手を実践し、黒字決算を達成するためにも、月次決算はとても大切です。
②経営者の個人保証を外せる可能性も!
円滑な事業承継を妨げる要因の1つとして、経営者の個人保証の問題があげられます。しかし、『経営者保証に関するガイドライン』に適切に対応することで、経営者の個人保証を外せる可能性もあります。ただし、その要件の1つが「自己資本比率20%以上」です。
「自己資本比率」は、黒字決算を続けることで高まります。毎期、着実に黒字決算を積み重ね、「自己資本比率」を高め、後継者に引き継ぎやすくする条件を整えましょう。
2.TKCシステムの活用で月次決算の経理事務負担を軽減しよう!

(1) 預金取引の経理事務を省力化!「FinTechサービス」
通帳の記帳のためにATMへ行くも、混雑してイライラ……。そんな経験はありませんか。
TKCの「FinTechサービス」を利用すれば、複数の金融機関から取引データを自動で受信することができます。インターネットバンキングやクレジットカード、電子マネー等、さまざまな入出金・支払明細にも対応しています。さらに、その取引データをもとに、仕訳ルールの学習機能を利用して、仕訳を簡単に計上できるため、毎日の経理事務の省力化が可能となります。
また、消費税の記帳要件に完全準拠し、仕訳の二重計上防止機能など、正しい記帳をサポートする機能が満載です。FinTechサービスの利用はTKC会員事務所が支援します。
(2) 経理事務のペーパーレス化を実現!「証憑保存機能」
領収書等の整理・保存が経理事務の負担になっていませんか。
TKCシステムの「証憑保存機能」を利用すれば、領収書などの証憑を、スキャナやスマホで電子化して保存できます。読み取った証憑データは、TKCシステム連携し、仕訳に貼り付きます。
なお、スキャナ保存制度を始めるには、あらかじめ税務署へ申請書を提出し、承認を受ける必要があります。この申請手続きも、会員事務所がしっかりサポートします。
(3) マイナンバーも給与明細もまとめて管理!「PXまいポータル」
マイナンバーを安全に管理したいけれど、管理の手間は減らしたいと思いませんか。
PXまいポータルを利用すれば、従業員とその扶養家族のマイナンバーを、扶養控除等申告書と一緒にWebで収集し、TKCデータセンターで安全に保管できます。さらに、給与明細等をクラウドに保存すれば、従業員はスマホ等で確認できます。これにより、給与明細の印刷・配付にかかるコストと負担を削減できるのです。
3.月次決算の基本はTKC会員事務所による「巡回監査」

TKC会員事務所では、「巡回監査」の実践を通じて、信頼性の高い決算書の作成に努めています。巡回監査とは、税理士が顧問先の企業を毎月及び期末決算時に訪問し、会計資料並びに会計記録の適法性、正確性及び適時性を確保するため、会計事実の真実性、実在性、網羅性を確かめ、かつ指導することです。
巡回監査は、
①毎月行う「月次巡回監査」
②期末決算時に行う「決算巡回監査」
に分けられます。TKC会員事務所では巡回監査と称する一連の業務についての実践基準を定めて、業務品質の向上を図ってきました。
(1) なぜ巡回監査をするの?
商法第19条第2項で、「商人は、その営業のために使用する財産について、(中略)適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。)を作成しなければならない」と定められています。
また、会社法第432条では、「株式会社は、(中略)適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」と定められています。すなわち、商人(会社を含む)である以上は、会計帳簿を必ず作成しなければならないのです。
ところが、すべての経営者が、適正な会計帳簿を自ら作成することの重要性を十分に認識できているとは限らないのが現状です。この原因のひとつには、上記の会社法の条項違反に対する罰則規定が、単に過料のみであって、刑事罰が課されていないことが挙げられます。また、税理士がこれまで関与先の立場に立って会計帳簿の自力作成の必要性を十分に指導できていなかった点も、会計帳簿の作成に意識が向かなかった理由の1つです。
(2) 実際の巡回監査では何をするの?
TKC会員事務所が関与先企業へ訪問し、「真実性」「実在性」「網羅性」に関する確認を行います。例えば、「40万円のエアコン」を購入している関与先企業に対して次のような業務を行います。
①実在性
領収書には「エアコン40万円」と記載されていた場合、TKC会員事務所は「この領収書で購入したエアコンはどれですか?」と確認します。案内していただき実際に見せてもらうことで、その取引が「実在」していることを確認します。
②真実性
そのエアコンが少々古い場合、TKC会員事務所では、領収書をよく見て、1つだけ「0」の筆跡が違っていないか(40,000が、400,000になっているかもしれない)を確認します。同じ型のエアコンをウェブサイトなどで検索したりして「40万円で売られている」と確認できれば、その会計事実が「真実」であると判断します。
③網羅性
エアコンを設置するときは料金が発生するのが通常です。「工事費は、その40万円に入っているのかどうか」を確認します。入っていなければ、その金額を確認して取得費に含めなければ取引を「網羅」したことになりません。
ちなみに「そのエアコンが全く稼働していない」というケースもあります。その場合「事業の用に供していない」ので、減価償却してはいけないということも判断します。それは「適法性」の確認につながります。
こうした事柄を確認するために、TKC会員事務所では、毎月の仕訳やTKCシステムへの入力内容が正確になされているかを点検し、帳簿を確定させるのです。そのために行うのが巡回監査です。この点検は、経営悪化のポイントの早期発見や原因究明、軌道修正につながることから、TKC会員事務所は、月1回以上行うことを大切にしています。この作業によって月次決算を確定させることで、事実に基づいた数値を根拠にした健全な経営を展開することが可能になります。TKC会員事務所では、巡回監査時に経営のことだけでなく、さまざまなことまでも相談に乗ることで、巡回監査担当者との信頼関係構築に努めています。
また、巡回監査では、帳簿の確認だけでなく、次のように多角的なサポートを会計事務所から経営者に提供することで、健全な企業運営をサポートします。

4.2024年11月よりスタート!「月次決算速報サービス」

2024年11月から経営者の意思決定や黒字決算の実現に役立つ「月次決算速報サービス」を開始しました。ここでは、その概要についてご紹介します。
(1) 月次決算の結果がメールですぐわかる!
「月次決算速報サービス」とは、月次巡回監査の終了後(月次決算後)に「月次決算速報」、すなわち業績の速報を経営者に対して、メールで自動通知するサービスです。スマートフォンに「変動損益計算書」「純売上高の内訳」「変動損益計算書から分かること」「売上高・限界利益・経常利益・限界利益率の推移」「自己資本比率の推移」が届きます。
(2) 目的は黒字決算のサポート
中小企業の経営者の皆様から、今後10年後・20年後においても税理士が頼りにされる世界を実現するために、TKC全国会では「税理士の4大業務(会計・税務・保証・経営助言)の完遂」が重要であると考えています。当サービスは、4大業務のうち「経営助言」業務を支援するために導入されたものです。関与先の経営状況が会計事務所へタイムリーかつ的確に共有されるこの業績速報により、税理士からもより的確な経営助言を受けることが可能となります。また、このサービスを利用することで、「限界利益率」と「自己資本比率」の重要性を理解することができます。それらに習熟することで、会社業績も自ずと改善されていきます。
これまでもTKCシステムの「FXクラウドシリーズ」等ではさまざまなビジネス・インテリジェンスツールが搭載されてきました。その結果、令和6年版「TKC経営指標(BAST)」における優良企業数は1万1,081社で、令和5年版の同指標と比較すると、3,139社も増加しています。
TKC会員事務所では、経営者の意思決定に役立つサービスを今後も提供していくことで、税務・会計だけでなく経営面もサポートします。
<「優良企業」の定義>
「TKC経営指標(BAST)」では、同業種同規模の平均値を優良企業、黒字企業、欠損企業、黒字企業中位グループ、全企業の5つに分類し確認することが可能です。
「優良企業」の定義は、以下の6つの条件をすべて満たす企業です。
1. 法人税申告時に税理士法第33条の2第1項に規定する書面が添付されている。
2. 中小会計要領(中小指針)または企業会計基準に準拠している。
3. 限界利益額が2期連続で増加している。
4. 自己資本比率が30%以上である。
5. 税引き前当期純利益がプラスである。
6. TKCの会計ソフト「FXシリーズ」で月次決算を行っている。
<「月次決算速報サービス」をご利用いただいている経営者の声>
・出張で監査に同席できない月でも、タイムリーに報告をいただけるのでありがたい。
・会計事務所が見ているものと同じデータを閲覧することができるので、会話に齟齬が生じることがなくなり、連携が取りやすくなった。
・売上高は上がっていたが、限界利益率が下がっていた。これまではそのようなことがあってもあまり意識してこなかったが、このサービスを利用すれば数値の上下がグラフで可視化できるのでわかりやすく、限界利益率を上げるための施策を税理士と一緒に考えるきっかけになった。
・今まで、税理士とのやり取りは経理担当者で止まっていたが、私にも結果が届くようになったため、税理士の経営助言の内容を把握しやすくなった。
・サービスの利用を始めて自社の限界利益率を意識するようになった。限界利益率が向上してくると、「経営努力の賜物です」という言葉を税理士からもらえて嬉しかった。
・利用開始の設定が不安だったが、メールアドレスの登録だけで済むのでとても簡単だった。
(3) 「月次決算速報サービス」を利用するためには?
「月次決算速報サービス」を利用するためには、次のすべての条件を満たす必要があります。
①FXクラウドシリーズ※の利用
※対象システム
○FXまいスタークラウド ○FX2クラウド ○FX4クラウド ○DAIC2クラウド
○MX2クラウド ○FX2農業会計クラウド ○DAIC3クラウド ○MX3クラウド
②継続MASシステムで策定した予算の登録
③巡回監査機能または巡回監査支援システムの利用
FXクラウドシリーズの利用企業は、2024年10月に11万社を突破しました。
<「月次決算速報サービス」の概要>
①通知方法
メールで通知します。なお、送信先は複数登録できるようにします。
②通知タイミング
月次更新の完了時に通知します。
③通知する業績速報の内容
・変動損益計算書
変動損益計算書の予実比較と前期比較を確認できます。
・純売上高の内訳
純売上高に集計されている科目の内訳を確認できます。
・この変動損益計算書から分かること
変動損益計算書の「純売上高」「限界利益率」「固定費」「経常利益」「月末棚卸高」に応じて、自動作成したコメントを確認できます。
・限界利益率の推移
「売上高」「限界利益」「限界利益率」「経常利益」について、過去10期分+当期分の推移を確認できます。
・自己資本比率の推移
「自己資本比率」について、過去10期分+当期分の推移を確認できます。
【参考資料】
・TKCニューメンバーズ実務セミナーテキスト 第19版(2024年7月改訂)
・『会計データからつかむ!「黒字決算」の虎の巻〜「3 6 5日変動損益計算書」の活用法〜』
・『事務所通信』2025年3月号虎の巻
・『TKC会報』2024年9月号~11月号

記事提供
株式会社TKC出版 1万名超の税理士および公認会計士が組織するわが国最大級の職業会計人集団であるTKC全国会と、そこに加盟するTKC会員事務所をシステム開発や導入支援で支える株式会社TKC等によるTKCグループの出版社です。
税理士の4大業務(税務・会計・保証・経営助言)の完遂を支援するため、月刊誌や映像、デジタル・コンテンツ等を制作・提供しています。